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金属アレルギーが招くさまざまな症状
金属アレルギーの症状というと、「肌荒れ」や「かぶれ」「しっしん」といったものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? しかし、実際に起きる症状はそれだけではありません。こちらではDr.佐藤が、金属アレルギーの症状をご紹介します。
もしかするとその症状は金属アレルギーではないですか?
「金属とアレルギーの関係」でもご紹介したとおり、金属とは本来、生体にとって欠かせないものです。しかし、さまざまな有害化学物質があふれる現代、身体の免疫機能がおかしくなってしまったことによって、金属アレルギーが発症するようになりました。しかし、金属であればすべてアレルギー反応を起こすわけではありません。
アレルギーを起こしやすい金属 | アレルギーの原因とならない金属 |
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「皮膚科に通っているけど、なかなか治らない症状がある」「原因不明の不定愁訴がある」といったお悩みをお持ちの方、その原因はもしかすると金属かもしれません。一度当院までご相談ください。
金属アレルギーチェック
以下の項目に当てはまるものがある場合、金属アレルギーかもしれません。一度チェックしてみましょう。
- 皮膚科で長期間治療を受けて薬を塗っているが、なかなか治らない湿疹やかゆみが続いている
- ピアスやネックレス、時計といった金属製品でかぶれたことがある
- 手のひらや足の裏に治りにくい湿疹や皮膚のめくれ、水ぶくれがある
- 身体の柔らかい部分やベルトまわりなどに、かゆみの強い赤い斑点ができる
- 歯科治療を受けた後に、身体がかゆくなったことがある
- 身体のどこかにかゆみや湿疹が1ヶ月以上続いている場所があり、なかなかよくならない
- 汗をかくとかゆみがひどくなる場所がある
- 最近、頭痛や肩こり、倦怠感がひどくなった
- お口の中や歯肉に、白いまだら模様がある
- 舌の色が変でピリピリ痛く、味覚が鈍くなり、金属のような味がする
- 口の中に金属の詰め物がたくさんある
金属アレルギーの症状の種類
金属アレルギーは、大きく2つにわけることができます。まず1つ目は、ネックレスやピアスなどの金属製品が肌に触れ、皮膚炎を起こす「金属接触アレルギー」です。そして2つ目は、食物や歯科材料(銀歯)などに含まれた金属が、口腔内や消化器官から吸収されて引き起こされる「全身型金属アレルギー」です。また症状から考えると、以下の3つにわけることができます。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は、金属が触れている皮膚にかゆみやかぶれなどが発生します。原因はアクセサリーやコイン、時計、革製品、セメント、ステンレス、塗料などが長期間に渡って肌に触れることです。また、長期間に渡って金属に触れ続けると、接触部位とは違う場所に皮疹が現れることもあります(接触皮膚炎症群)。
- 【原因となる金属を含む製品】
- ・ネックレス
- ・ビューラー
- ・時計
- ・ピアス など
全身性接触皮膚炎
歯科材料(銀歯など)や食物などに含まれる、微量の金属が口腔内や消化器官から体内に吸収され、症状を引き起こすものが「全身性接触皮膚炎」です。アトピー性皮膚炎やしっしんなど、さまざまな症状の原因になると考えられています。全身性接触皮膚炎を引き起こすニッケル、クロム、コバルトなどの金属は、チョコレートやココア、豆類、香辛料、貝類、レバー、胚芽などに含まれています。歯科金属は、これらの金属のほかにパラジウム、金、水銀、錫なども含有しています。
- 【全身性接触皮膚炎の症状】
- ・アトピー性皮膚炎
- ・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- ・しっしん
- ・にきび
- ・脱毛
- ・扁平苔癬(へんぺいたいせん)
- ・貨幣状湿疹
- ・乾癬(かんせん)
口腔内の症状
金属アレルギーの症状は口腔内にも現れます。たとえば味覚が鈍くなったり、感じなくなったりする「味覚障害」、口内炎や舌炎などの口腔内の炎症、ドライマウスなども金属アレルギーによって引き起こされる可能性があります。歯科治療では銀歯をはじめとした金属の歯科材料を使いますが、お口の中にある酸や細菌によって金属が溶け出すことがあります。そして溶け出した金属が体内に取り込まれて、金属アレルギーを発症することもあるのです。
- 【口腔内の症状】
- ・味覚障害
- ・口内炎
- ・舌炎
- ・口唇炎
- ・扁平苔癬(へんぺいたいせん)
- ・歯肉炎
- ・口角炎
- ・ドライマウス
金属の種類と症状
金属は、私たちの生活のあらゆる場面に存在しています。またそれだけでなく、体内の構成成分の一つであり、さらに体内で起こる化学反応にも深く関わっているのです。
そして体内で問題になるのは、たんぱく質とまだ結合していないフリーの金属イオンであり、これが増えすぎることで金属アレルギーが発症します。金属アレルギーはお口の中の金属が原因になって発症することもありますが、その場合にも症状はお口の中だけに留まりません。
こちらでは金属の中でも、とくにアレルギーと関わりの強いものを、症状と併せてご紹介します。
種類別アレルギー症状の紹介
ニッケル |
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体内に取り込まれたニッケルの多くは、便中に排出されますが、中には汗の中に排出されるものあり、汗腺が多い指や手のひらに小水疱を伴う、治りにくい湿疹ができることがあります。またニッケルはクロムと性質が似ていることから、クロムに対してもアレルギーを発することがあります。 体内に取り込まれたニッケルの多くは、便中に排出されますが、中には汗の中に排出されるものあり、汗腺が多い指や手のひらに小水疱を伴う、治りにくい湿疹ができることがあります。またニッケルはクロムと性質が似ていることから、クロムに対してもアレルギーを発することがあります。 |
クロム |
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ドアノブなどのメッキ、塗装などの染料、オフセット印刷などのほか、あさりやシジミ、わかめ、牛肉、大豆などにも含まれるクロムは、ニッケルと同じく身近な金属だといえます。 アレルギー症状はニッケルと似ており、そのほかにも全身に湿疹やかゆみを招きます。 |
コバルト |
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ガラスやレンガ、陶磁器、印刷などのほか、ウナギやいんげんなどにも含まれるコバルト。 ニッケル・クロムと同様の症状のほか、口腔内に扁平苔癬(へんぺいたいせん:治りにくい粘膜異常の一つ)や、前癌状態である白板症(はくばんしょう)などを招くこともあります。 |
パラジウム |
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パラジウムは、歯科用としてもっとも使われている金属です。実に、保険診療で用いられる金属の約8割がパラジウムであるといわれています。 しかし近年では、日本人の約5~10%がパラジウムにアレルギーがあるという統計が出ています。とくに女性に多く、ニッケルに対してもアレルギー反応を起こしやすいのが特徴です。 |
スズ |
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スズは、銀色の安いメッキ素材としてよく用いられています。これが「トリブチルスズ(TBT)」という有機物と結合すると、女性ホルモンに似た作用をすることがあり、これは環境ホルモンとしても知られています。さらにTBTはアレルギー反応の中核をなす化学伝達物質を誘導するため、体内への摂取量が多くなるとアレルギーを引き起こしやすくなるのです。 スズは缶詰などの食品から体内に摂取されることがあります。体内量が少なすぎると欠乏症状を招くことがあるため、通常の飲食程度の適量の摂取が必要だといえるでしょう。 |
セレン |
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カツオやイワシ、牡蠣(かき)、玄米などに含まれるセレンは、体内における活性酸素の脅威を緩和する抗酸化物質の一つ「グルタチオン」を合成する酵素の活性化に不可欠な金属です。欠乏すると、アレルギーを抑制するTh2細胞が増えすぎてバランスを崩し、アレルギーを起こしやすくなります。 しかしセレン自体がアレルゲンになることはなく、人体に必要不可欠な金属であるといえます。過剰な摂取による中毒症と欠乏症状の間が狭いため、通常の飲食による摂取のみで十分だといえるでしょう。 |
亜鉛 |
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牡蠣やレバー、チーズ、ウナギ、卵黄などに多く含まれる亜鉛は、体内でのさまざまな免疫細胞の活性化や、細胞内のシグナルの伝達などに不可欠な金属であり、欠乏するとリンパ球の機能に障害が生じます。 また欠乏によって、免疫に関わるTh1細胞とNK細胞を低下させ、アレルギーを抑制するTh2細胞が優位になることでバランスが崩れ、アレルギーが起こりやすくなるのです。 |
金属アレルギーが起こる背景
金属アレルギーにかぎらず、アレルギーという現象は最近になって急激に増加しています。その背景には、「環境の変化」と「食生活の変化」が挙げられます。
環境の変化
現代の、また都会の環境は、工場などから排出される産業廃棄物や窒素酸化物、また車のディーゼルエンジンから排出される微粒子の硫黄酸化物など、さまざまな化学物質によって汚染されてきました。そのことから生体の免疫システムに狂いが生じ、アレルギーやぜんそくといった病気を招いているのです。
またとくに都会の水道水には大量の消毒薬が添加されており、飲食はもちろん、シャワーなどから経皮的に体内に吸収されることからも、免疫システムに異常を招いているともいわれています。
食生活の変化
近年、食生活は大きく変化してきました。たとえば外食やファストフード、インスタントやレトルト食品など、手軽にとれる食事が増えています。これらの食事には長期保存などの利便性が求められ、そのためにさまざまな保存料などの添加物が使われており、私たちは常に多くの化学物質を摂取しているのです。
化学物質を多く摂取することによって、体内の免疫をつかさどる細胞のバランスが崩れ、本来身体に必要である物質にまで攻撃がはじまります。これがアレルギー反応なのです。